騙されたと思って食べてみな
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もう10年以上も前のことだ。


東京に住んでいたころ、

(そもそも僕は東京出身ではあるが、今は結婚して島根県に住んでいる)


一人でスパ巡りをしていた時期がある。


もともと一人行動が好きだった僕は、


焼肉屋や寿司屋へも一人で食べに行く。


もちろんお酒も飲むし、


一人でもかなり酔っ払いもする。


そのままハシゴ酒をすることも珍しくはない。


その一環としてスパにもよく一人で行っていた。



そのスパで起きたある出来事をシェアしたいと思う。



そのスパには屋内と屋外に温泉スペースがあり、


屋外の露天風呂スペースには4種類の温泉が設けられていた。


10名ほど入れる岩風呂。


6名ほどのヒノキ風呂。


またまた6名ほどのなんちゃら効能風呂。


そして少し離れた場所に、


大人の男性が2人で入るとちょっと違和感を感じるサイズの窯風呂がポツンとあった。


屋内で身体を洗い終えた僕は、露天風呂へきた。


隅のほうにポツンとある窯風呂には一人の男性が座っている。


お湯に浸かっているのではなく、窯の”ヘリ”に座って涼んでいた。


二人入るには狭いので、僕は岩風呂に浸かることにした。


小さい滝が流れている岩風呂は、温度も丁度良く、


頭を支える適度な岩を見つけて夜空を見ながら浸かる。


最高のひと時だ。


しばらくして僕は窯風呂に目をやった。


先ほどの男性が窯の”へり”に座って涼んでいる。


僕はヒノキ風呂に移動した。


温泉好きの中でもヒノキ風呂愛好家は多いと思う。


ヒノキによる効果は、その香りはもちろん


お湯を柔らかくする効果もあるのだと思う。


ゆっくりとヒノキ風呂に浸かった僕は、


少し体をクールダウンさせようとヒノキの”へり”に座った。


なにげなく窯風呂を見ると、


先ほどの男性と目が合った。


彼はまだ窯風呂を独占していた。



『おいおい、ちょっと待て。』


僕は心の中で言う。


彼は僕よりも少し年は上に見える。


40代半ばくらいだろうか。


もうイイ大人ではないか。


その大人が、


一つしかなく、それでいて2人の大人が入るにはちょっと違和感を感じるサイズの窯風呂


もう30分以上も独占している。


しかもお湯に浸かっているのではなく、


窯の”へり”に腰を下ろし、


優雅に涼んでいるのだ。


『なんて常識のない奴だ』


僕は心の中でそう思っていた。


しかも窯風呂に入りたくている僕と、


何度もチラチラ目が合っている。


僕の中でヤンチャな側面が発言してくる。


おい、あいつをそろそろどかしたほうがいいんじゃないのか?


そこに僕の中の大人な側面が口をはさむ。


なにを言ってるの。ちゃんと空いてから行くべきよ


いい大人が常識なさすぎだ。しかもチラチラ見てるくせにどきやしねー


あなたもう20代後半なのよ、ガマンして空くのを待ちなさい


どちらの意見にも耳を傾けていた僕は一つの決断をだす。


窯風呂には入りたい。


空いてから行くのが大人だということもわかる。


しかし彼が長すぎることも事実だ。


そしてなにより、


窯風呂が【おひとり様専用】というわけではない。


僕が窯風呂に向かうことは悪いことではないのだ。


その結果、気まずくなって彼が出ていくとしても


それは威圧ではない。


というより、威圧だと決めつけることはできない。


『よし行こう!!』


そう決めた僕は、


男性が座っている窯風呂に向かった。


窯の”へり”に座っている男性の横から窯風呂に片足を入れた。


その時僕の視界は、


ギンギンに反り立った彼の肉棒をとらえたのだ。


その瞬間、僕は悟った。


『悪いことをしてしまった。。』


彼は何かの拍子に思い出してしまっていたのかもしれない。


その内容が何なのかは知らないが、


理性とは別に下半身が反応してしまっていたのだ。


同じ男性なら理解ができる。


そして恥ずかしくておさまるまで涼んでいたわけだ。


僕は心の中で言った。


『そんなに恥じることなどないよ。ここには男しかいないのだから。』


僕は目を閉じ、


何も気にしてない様子を目一杯にし、


大人2人ではちょっと違和感を感じるサイズの窯風呂に浸かった。


その直後、


目を閉じていた僕の耳に聞こえたのは、


『ぽちゃぽちゃ』


というお湯から上がるような音だった。


『申し訳ないことをした…。』


そう思いながらも、


やっと独占できた窯風呂で両腕を広げてくつろぐことにした。


…。


なんだか右の乳首が感じる…。


何かが僕の右の乳首に触れているような気がした。


気になった僕はゆっくりと目を開け、右側を覗いた。


すると、


先ほどの彼が僕の横に座り、僕の右乳首を指でさすりながら僕を眺めている。



交通事故にあった際に、時が止まったように感じ、


その一瞬で多くの物事を巡ることができると聞いたことがある。


まさしくその一瞬で素早く頭は回転していた。



彼は『ぽちゃぽちゃ』と音を立ててお湯から上がったのではない。


お湯に浸かってきたのだ。


そして彼は、


何かの拍子に思い出してしまったわけでもなんでもなく、


目の前に広がる天国のような男子風呂の光景にただただ興奮していたのだ。



そして少し前からチラチラと目を合わせてくれる男性がいる。


鍛えられた肉体のその男性は、窯風呂へと近づいてくる。


ギンギンに反り立った肉棒を見ても躊躇することなく窯風呂へ入ってきた。


そしてその鍛えられた肉体の男性の横に座り、右乳首をやさしく触った。


するとその男性がゆっくりと目を開け、


こちらを見て一言。


『なんだテメェ!!消えろ!!』




僕はとっさにそう怒鳴っていた。



窯(かま)風呂の”へり”に座る男 -完ー



『やりたいことをやって生きる!!』
そう決めた僕が、経営に関わっていた会社を辞め、
キャンピングバスで生活しながら旅を始めた実録記。

道中での数々の奇跡的な出会いや、
妻へ公開プロポーズをするまでの神がかりな出来事を書いた自伝小説です。
【~LIFE IS A JOURNEY~僕の半生記】

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