前回へ:妖精は小さなおじさん-【②】- 


バイトが早上がりだったミツルは、いつもの定位置でビールを飲みながら
新聞に赤ペンで何かとチェックを入れまくる癖がある、小さなおじさんの所へ行った。

 

やあ、ミツル君、今日は早番かな?

では一緒に一杯やろう。

 

小さなおじさんにビールをごちそうしてもらい、横に座ると、ミツルは昨晩の考えを話した。

 

良いところまできたね。

 

小さなおじさんはそう言うとハイネケンを一口飲んだ。

 

ミツル君は自分を観察して、自分の持っているものに気が付くことができた。
だがそのあまりにも現状とかけ離れた夢に怖気ずいてしまったわけだね。

 

そう言いながら、小さなおじさんはビールをまた一口飲んで続けた。

 

これは誰もがおちいる最初の罠なんだよ。

人はみな、やりたいことが必ずある。
今はないとしても、ミツル君のように自分をよく観察する時間をかければ、必ずみつかるものだ。

しかしここからが重要なのでよく聞くのだよ。

 

人はやりたいことや挑戦してみたいこと、または良いと思えるアイディアなどがあったときに、何度挑戦したら諦めるか知っているかな?

答えは一度も挑戦せずに諦めてしまうんだ。
今のミツル君のようにね。

 

ミツルは返す言葉がなかった。

小さなおじさんが言ったことが正しいことを理解できていたからだ。


と、いうことは…。


ミツルが口を挟もうとしたところで、小さなおじさんは続けた。

 

その通り。やっぱりミツル君は素質があるね。

つまり、世の中の大半の人が、挑戦をすることなく、現状維持を続けているんだ。

そしてもうわかるように、成功している人は、チャレンジをしている人ってことだよ。

 

目の前では七福神様が微笑んでいる。

それでもミツルの脳裏には反論が浮かんでいた。

 

チャレンジしても失敗する人だっているじゃないか!?

そう言いたそうだね?

 

からかうような表情でミツルを覗き込む、小さなおじさん。

 

いいかい、ここでまた大切な法則を教えてあげよう。

 

ミツルはのめり込むようにして聞いていた。

 

人生には、遠回りなんてものはないんだ。

人間レベルでは遠回りをしているように思えることも、宇宙レベルでは最短の近道を進んでいるってことさ。

 

ミツルは考えを巡らせながら答えた。

『つまり、失敗しても失敗ではないということ?』


 君はやっぱり筋がいい。

 

そういうと小さなおじさんは続けた。

小さなおじさんはいつもミツルをほめてくれる。

ほめられると人は意欲がでるものだ。

 

目の前のことには失敗したように見えても、次の機会の大きな成功のために、今はそれをさせないってことがあるのだよ。
宇宙規模ではね。

 

確かに聞いたことがある。

アメリカ合衆国の元大統領、エイブラハム・リンカーン。
彼は数回にわたり事業で失敗をし、また数回の議員選挙で落選した末、51歳で大統領となったのだ。
彼の奴隷開放宣言により人類に多大なる影響を与えたことは有名である。


ファーストフードチェーンのマクドナルド創業者であるレイ・クロック。
彼もマクドナルドと出会ったのは52歳のときだ。それまではミキサー販売会社の営業マンでしかなかった。

 

ミツル君は実に勉強熱心だね。感心するくらいだ。 

だがもう準備期間は終わりにしたらどうかな。
君はもう挑戦する時期に来ているよ。

 

ミツルはその言葉が胸に突き刺さっていた。

僕は今まで逃げてきただけなのかもしれない。

たくさんの勉強や情報を集めながら、挑戦をせずに先延ばしにしてきたのだ。

小さなおじさんは続けた。

 

ここから先、ミツル君は挑戦をしていくことになるだろう。
そしてそれは本来の人間の姿だ。

そこで一つだけ、うまく進めるためのコツを教えてあげよう。

どんな夢でも構わないが、そのことを人に公言することは控えることだ。

 

ミツルは疑問を返した。

有限実行という言葉があるはずだ。

 

確かに有言実行は有効な手段ではある。 
あるレベルまで達している人ならいいかもしれない。しかし、ほとんどの人は意思が強いわけではない。

世の中には、夢をあきらめた大人がウジャウジャしている。
その人たちは、あたかも正論のように制限をかける言葉を使ってくる。

例えば、もういい年だとか、前例がないとかね。
そして自分たちと同じように、夢をあきらめることこそが大人になるということだ
と主張すらしてくる。
この中で戦えるレベルの人ならいいんだがね。

 

小さなおじさんはそう言ってミツルの顔を覗き込んだ。

ミツル自身も理解していた。自分はまだそのレベルではないことを。

 

まずは自分の世界を作りなさい。
その世界に生きる人になるのだ。
そういう人を、宇宙と繋がっている人というんだよ。

 

それからも度々、小さなおじさんの宇宙の法則レッスンは続いた。

ミツルは作家を目指しながら、現在もコンビニでアルバイトをしている。

しかし、その考え方や日々の行動などは、小さなおじさんと出会う前とは変わっていた。

ミツルは時より、小さなおじさんが言ったことを思い出す。

 

いいかぃミツル君、私は妖精なんだよ。

そして私は、いろんな形をしてこれからも君の前に現れるだろう。
それは人生の転機の時が多い。だからしっかりと観察することだ。

自分の人生をね。

 

妖精は、僕たちの人生にいろんな形をして現れる。
コンビニのお客さんや親戚の変わったおじさん、時には路上生活をしている浮浪者となって…。



続きへ:妖精は小さなおじさん-【④】-

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-自叙伝-
人生のレールを脱線してみた僕の半生記~Life is a journey~



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