前回へ:妖精は小さなおじさん-【③】-


学校から帰ってくると、洗面台でうがいと
手洗いを済ませ冷蔵庫を開ける。


コップ一杯の麦茶を注ぐとそのまま2階の部屋へと向かった。


エリカは3姉妹の真ん中で、中学3年生。今年受験を控えている。


3つ年上の姉は、破天荒な性格でいつもサバサバとしていた。


4つ年下の妹は、おとなしいが独特な個性の持ち主で、常に一人で行動し、いつも何やら本を熱心に読んでいる。


間に挟まれているエリカは、勉強が好きではあったが、決して得意なほうではなく、コツコツと努力をするタイプである。


とくに勉強をしている素振りもなく、学年でトップクラスの成績である姉をいつも羨ましく思っていた。


同様に、周りの人に興味を示さず、マイペースでいれる妹のことも羨ましかった。


私には得意なことが一つもない。

エリカはいつしか、そのように自分を評価するようになっていたのだ。


兄弟がいる人なら感じることなのかもしれない。

まったく同じ環境で育ったはずなのに、性格も特技も違うようなことはよくある話である。

 

ある日の夕飯時、姉が進路のことを親と話していた。


今年高校を卒業する姉は、大阪にあるウェデングプランナーの専門学校へ通うことが決まっていた。


実家がある島根県からは通えないため、専門学校の寮に入るというのだ。


これからは姉がいなくなる、妹の面倒も私がちゃんと見なくてはならない。

しっかり者のエリカは心の中でそう思っていた。


エリカにもぼんやりと夢はあった。

美容師だ。


母親の妹である親戚の叔母さんが美容師でお店を経営しており、


3姉妹はいつも叔母さんに髪を切ってもらっていた。


エリカは、お店を経営している叔母さんを尊敬しており
いつか自分もやりたいことをやって生きていくんだ。
そう思うようになっていた。


そしてその叔母さんと仲良くする理由がもう一つあった。

叔母さんの旦那さんである南さんだ。


南さんはキャンピングカーで全国を旅して周っている道中で
叔母さんと出会い、そのまま結婚して島根県に住んでいる。


エリカの周りで、このようなタイプの人は今までにいなかった。


南さんの話はいつも新鮮で興味があることばかりだ。

 

 エリカちゃんの夢はなんだぃ?

 

以前、家に遊びにきた南さんと話をしていた。

 

 美容師さんか、いいじゃない。

 なぜ美容師さんになりたいのかな?

 

南さんにそう聞かれたエリカは考えていた。


今までに、なぜ?と突っ込まれたことなどなかった。親や先生にも…。


私はなぜ、美容師になりたいのだろう?


確かに叔母さんのようになりたいと思ったことはきっかけだ。

しかしそれだけの理由で夢を決めてしまっていたのか…。

南さんは続けた。

 

 例えば、人と触れ合うのが好きだとか、仕事場がオシャレなほうがいいとか。もちろん、髪の毛を触るのが好きというなら最高だけどね。

 

そういうと南さんはクシャクシャとシワを寄せて笑った。

エリカは決して髪の毛を触ることが好きなわけではない。それに南さんが言うように

接客が好きなのだとすれば、美容師でなくてもいいはずだ。

南さんは続けた。

 

 ごめんね。困らせるつもりはないよ。

 しかし、これはとても大切なことなんだ。

 人生の時間はとても貴重で、どれだけ自分と向き合う時間を取れるかによって大きく変わってくる。

 大半の人は周りの目を気にして生きているからね。

 

エリカにも思い当たる節がある。

いつも姉や妹のことを物差しにしていた。

エリカはまだ自分の将来の夢がはっきりしていないことを南さんに伝えた。

 

 それでいいだ。

 自分が知らないということを知る。

 このことができる人は成長できる。

 エリカちゃんが良ければ、また会って話をしよう。俺の知っている宇宙の仕組みを教えてあげるよ。

 

南さんはそういうと、スマートフォンの番号を教えてくれた。

その日から、南さんと宇宙の仕組みのレッスンが始まった。



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-自叙伝-
人生のレールを脱線してみた僕の半生記~Life is a journey~



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