前回へ:妖精は小さなおじさん-【㉒】- 



 ミツルは自宅の仕事部屋にいた。

 窓の外を見つめて思いに更けている。

 電車の中で会った大きな体をした妖精の話を整理していた。

 

 僕たち人類はとても長い年月をかけてこの地球で存続している。

 時には古代文明として、そして時には近代文明として。

 直線で発展し続けているのではなく、振り子のようにある時点まで到達すると進化とは逆の方向へ進むのだ。反作用が働くかのように。

 すると人類は常に何かを求めて進んでいることになる。

 発展へ向かっているときは、外側部分の進化が目立ち、人類は神以上の存在になろうとする。

 後退へ向かっているときは、内面部分の進化が始まり、本来持っているさまざまな能力が研ぎ澄まされていく。

 それにより外側の部分による発展は意味をなくしていく。

 人目も気にせず、内なるものと一つになり、そのことで共存の大切さも理解していくのだろう。

 ここで一つ疑問がある。

 後退を進めていった先では、人類のどういった感情から、また進化の方向へ戻っていくのだろうか。

 発展が行きすぎて、自然を大切に考える方へ向かうことは理解できる。

 しかしそこから再度また発展へ向かうことはなぜなんだ。

 そこでも何か災害などの問題が原因になのであろうか。

 

 ミツルはもう一つ気になったことを思い出す。

 妖精は自分たちの住む世界を永遠の愛の世界と言っていた。虹はその世界のものだという。

 この世界でも虹が見られるということは、同じ空間に存在しているということだ。

 しかしそこには行けるときと行けないときがある。虹を見るように。

 人類はその世界に行こうとしているのではないだろうか。

 虹のように、何かの際に一瞬行くことができた永遠の愛の世界を求めて。

 ミツルは何かが理解できそうだった。

 しかし同時に、自分の経験値だけではこの迷宮の謎は解けないような気もしていた。

 ミツルは散歩に出かけることにした。

 冷蔵庫から缶ビールを取り、手さげ袋に入れる。

 この手の話はおじさんに聞いてみよう。

 

 

 

 

 

 いつもの散歩コースを歩いていくと、高架下のビニールテントが見えてきた。

 浮浪者のおじさんは椅子に座り煙草を更かしていた。

 白髪のヒゲをいっぱいに蓄え、黒く焼けた肌のおじさんは、どこか西洋人にも見えた。

 

 よう、ミッチー。サボってんな。

 

 いつものように声をかけてくれる。

 ミツルは手さげ袋から缶ビールを取り出しおじさんへ渡した。

 

 おっ、コーヒーではないところをみると、何か聞きたいことがあるのかぃ。

 

 浮浪者のおじさんはニンマリ微笑んで答えた。

 

 ミツルはときより、小説のアイデアに詰まるとおじさんの知恵を借りていた。

 元経営者で今では浮浪者をしているおじさんの世界観は独特なものがある。

 『そうなんです。ちょっと作品が進まなくて…。』

 ミツルは小説作品の内容として相談をすることにした。

 二人は缶ビールで乾杯をした。



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 -自叙伝-

人生のレールを脱線してみた僕の半生記~Life is a journey~

  
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