前回へ:妖精は小さなおじさん-【㉔】- 



妖精が教えてくれた一部の人間とは、自分の中にいるもう一つの一面。

書物を巡る争いとは、誰もが持っている人の側面だ。

間違っていることに気付いてはいるが、自分だけで行動を起こして現状を変えるまではできないような物事が世の中にはいくつもある。

 

ミツルは本を書き進めていく。

 

人類はものすごく長い年月をかけて、発展してはまた戻るということを繰り返している。

この先どこへ向かっていくのだろう。

しかし何度繰り返そうが、その延長線上には求めるものはない。

人類が求めている場所は永遠なる愛の世界。妖精が住む世界だ。

そこは常に同じ場所に存在している。

自分以外の何者になろうとしても、どこか遠くへ行こうとしてもそれは見えない。

自分の存在価値を認め、存在しているその時点で幸せを選ぶこと以外にそこへ行く方法はないのだ。

しかしそれに気が付いてしまっては困るもう一人の自分がいる。

努力して成長することにより幸せになるという妄想を作り上げている側面だ。

その側面は自分が間違っているとは思いたくない。

一生懸命に頑張った先に見返りがあると思っているからだ。

いや、思わされているのかもしれない。資本主義社会に。

僕たちはいつのまにかカゴの中で生きることになってしまった。

カゴの中のモルモットは必死に回し車を走り続ける。

しかしいくら頑張れど、一歩も前には進んでおらず、エサを食べてまた回し車を走り続けるのだ。

カゴの外にいる妖精たちはそれを不思議そうに見ている。

なんでカゴから出ないのだろうと。

僕たちは初めからどこにも向かってはいない。

そしてこれからも向かう必要などない。

ただカゴの外に出て、自由を選択するだけでいいのだ。

そしてそのことが理解できたときにわかる。

何も問題がなかったことを。

ただ回し車を走りながら、妄想していただけだということを。

ではカゴとは一体なんのことをいうのだろうか。

それは常識だと思い込んでいる妄想のことなのかもしれない。

昔、この地球は平面だと思ってきた。

しかし宇宙に行くことができて以降、地球は丸いことが常識となった。

このように常識と言われていることがいかに不確実なものなのか。

同じようなことはたくさんある。

赤という色にしても、紅・朱色・緋色などいくつもの表現が存在する。

つまり僕たちが認識している色なんてまだまだ一部に過ぎないと考えるほうがよいのだろう。

そういった思い込みの中で生きることがカゴの中にいるということなのかもしれない。

色眼鏡を外し、リアルを見る感覚が必要なのだと思う。

 

今後人類は、リモートに頼らなくてはならない時代に入る。

しかしそれは本質を見抜くためには必要なことなのかもしれない。

実際に物に触れ、体験するリアルに気づくためには。

人生に遠回りなどはない。

宇宙規模では最善の近道を進んでいるのである。

ゆっくりと気が付くのもいいだろう。

だが一つ伝えておきたい。

それを選べるのは自分だということだ。

今すぐに気付くことを選択できるのは自分しかいない。

カゴの外に出ると決めることができるのはアナタ自身なのだ。

僕たちは体験をするためにこの世界へ来た。

自らが創造したこの世界で今も日常生活という体験を続けている。

もしかしたら僕たちはあえて不自由さを味わいたいと思ったのかもしれない。

本来の姿は自由そのものだったのだから。

しかしいつの間にか自らが創ったこの世界にどっぷり浸かってしまい、もがき苦しんでいる。

でも思い出してほしい。

この世界に来ると決めたのは自分だと。

自らが創造したこの世界でできないことなどはないのだと。

しっかりと目を開き、自分だけの真っ白なキャンパスに人生という作品を描いていってほしい。

やらなくてはいけないことなどない。

やりたいことをやればいいだけなのだから。

 

 

最後の文章を書き終え、著作のサインを書くときに躊躇をした。

そしてペンネームで【ミツル】と書いた。

テレビでは”ゆく年くる年”が終わったところだった。

また新しい発展の年が明けたのか。はたまた、折り返しとなる重要な年になるのか。

そして今自分はどちらの世界の住人なのだろうか…。

 

 

 

 


 

渋谷のスクランブル交差点で信号を待つ。

平日とはいえ、世界的にも有名なこの場所に例年のような人混みは消えている。

信号が青に変わると同時に歩き出した男は、長い髪をなびかせ、まだ4月だというのに小麦色の肌に足元はハワイアナスのビーサン姿だ。

交差点の向かえにある本屋へ入る。

店内には数人の客が一定の距離を保ち、本を物色していた。

口元にはみなマスクを着用している。

『面倒な時代になったもんだ…。』

男はそう言うと長髪を束ねてゴムで結び、ポケットからマスクを取り出して着けた。

正面の新刊コーナーに本が積まれている。

帯にはユーチューバーA♡RIKA推薦と書かれてある。

その本を手に取ると、男は微笑みながらタイトルをつぶやいた。

妖精は小さなおじさん…。 


第一部 
-完-


あとがき~第2部へ…。【妖精は小さなおじさん】


~初めから読む~
 妖精は小さなおじさん-【①】-
  


前回へ:妖精は小さなおじさん-【㉔】- 


-自叙伝-

人生のレールを脱線してみた僕の半生記~Life is a journey~

  
おすすめ記事
うっかりTV取材…?~17エッセイ~

人気記事
昭和生まれの味なオヤジ~17エッセイ~


ブログトップへ  


ブログランキングにも挑戦中!
1日1クリックしてくれたら嬉しいです。


人気ブログランキング  

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 


読者登録はこちら。
どちらかお選びください。