夢男



僕は1年以上ぶりに仕事をする決意をする。

なんだか引きこもりになっていたような気分だった。

ネットで求人広告を見ながら、やりたい仕事がないことはわかっていながらも、興味がある職種を探していく。

初めに目についたのが、キャンプ用品の販売店だ。

時給は850円~。

東京の最低時給は1000円であるが、ここは島根県。ほとんどの求人が時給900円前後になる。

社員の月給にしても16万円~という状況だ。


そもそも社員で働く気はなかった。

やりたいことでない限り、会社に忠実になることは、僕にはできない。

そこらへんは、クソ真面目な部分である。

それに、年に数回は大型連休を取る”必要”がある。

知らない土地を旅することは、僕にとって必要項目なんだ。

41歳無職、仕事を探し出してもマイペースな条件である。


多くの人はこう思うだろう。

『この不安定な景気の中で、そんな自分勝手の仕事なんかあるわけない』って。

もしそう思うなら、アナタにとっての現実はそうなのかもしれない。

しかし僕の現実は違う。

僕はラッキーボーイだ。

なんとかなる!と信じている。

必要なモノは、必要なときに、必ず手に入ると本気で思っている。

思っている自分になる!わけであり、人の数だけ世界があり、現実が違うということなんだ。


キャンプ用品店の他にも求人を見て回った。

接客業・倉庫内作業・引っ越し屋に農林水産業。

そのどれもピンとこなかった。

働いている自分を想像できない。

それどころか、人とのコミュニケーション疲れになるのが怖かった。


僕は一人で行動することを好む。

人と交わっても器用に対応する能力を持ち合わせてはいる。

しかし一人になった瞬間に、ドッと疲れが出るんだ。

それを我慢して続けると、身体に斑点が現れる。

体力的にではなく、精神的に限界の合図がでるんだ。

僕を知っている人は、この事実を疑うだろう。

なぜなら僕は、器用にこなしてしまうから。

でもそれは本当の僕とは違う。

テレビに出ている、芸人さんのように…。


精神的な障害があるのかもしれない。

しかしこれは、誰にでもあることなのだとも思う。

誰もがどこかで、ガマンをして社会を生きている。

そのことに強くなっているのか、はたまた鈍感になってしまったのか。

10年以上、一人で気ままに生きてきた僕には、社会の中で揉まれる免疫が無くなってしまったようだ。


そんな僕の目に飛び込んできた求人。

宅配物の配送業。

委託配送で、軽ワゴンを所有し個人事業主として開業する。

キャッチコピーは、『自由に、がっつり、稼ぎたい人・一人で気ままに働きたい人』だった。


これだ!!

僕の直観がそう言っている。

インターネット・スマートフォンの普及により、Amazonなどのネット売買が主流となっている。

人々は生活用品からブランド品まで、そのほとんどをネットで注文する時代だ。

そこにコロナ禍も重なり、人との距離を保てる通販の需要は右肩上がり。

配送ドライバーが不足している状況だ。

これなら当面、需要は見込める。

だからといって運送会社に勤める気はないし、先々のことを考えて雇用してもらおうとも思っちゃいない。

個人事業主として委託配送を請け負うのであれば、一人で気ままにできるし、やればやっただけ実入りがある。

僕はこの仕事に決めようと思った。

そして思い出した。

『確か、地元の後輩がやっていた仕事ではなかったか?』

やっている人に実態を聞いておく必要がある。

メリット・デメリットも事前に把握してから応募するのもいいだろう。

僕は東京の後輩へ、久しぶりの電話を入れることにした。



宇宙は、
呼び方を変えるならば…神様は、様々な状況を使って合図を送ってくれる。

失敗に見えるような現実や、友人からポロリと出る言葉を使って…。

僕らは、その合図をキャッチできるアンテナを張っていればいいんだ。

そして合図をキャッチしたならば、行動を起こすだけ。



僕は久しぶりに電話した後輩の言葉により、また一つ、自分の殻を破ることになる…。



つづく。





次回: 僕は無職で夢男⑨~東京・亀戸・下町グループ~

前回: 僕は無職で夢男⑦~妖精は小さなおじさん~

 最初から読む: 僕は無職で夢男①


○会社を辞めキャンピングバスで旅した実体験小説
人生のレールを脱線してみた僕の半生記~Life is a journey~ 


○宇宙の法則をテーマに書いた小説 
妖精は小さなおじさん


○人生の真理を表現した短編小説
幸せの映画館


○小説以外も毎日更新している僕の考え方
宇宙には法則があるんだよ



ブログトップ


 1日1クリック応援お願いします!!


人気ブログランキング  

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 


読者登録はこちら。
どちらかお選びください。